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【不定代名詞】「on」を使いこなす!会話編【初級〜中級】
【不定代名詞】「on」を使いこなす!会話編【初級〜中級】
フランス語で「on」は会話でしょちゅう使います。このページで、「on」の使い方をマスターしちゃいましょう。
「on」はもともと「homme」と同語源です。つまり「人」のことを表すのですが、会話では一人称を表すとき、二人称を表すとき、三人称を表すとき、そのいずれもがありますので、ここでは人称別に整理しておきたいと思います。
書き言葉における「on」の使い方については、「【不定代名詞】「on」を使いこなす!文章編【初級〜中級】」を見てみてください。
パターン1 一人称のon
ひとつめは、〈一人称のon〉です。まずは用例を見てみましょう。
L’été dernier, on a été à Karuizawa.(こないだの夏は軽井沢に行ったんだ)
On a visité Paris.(パリに行ったんだ)
このような個人的な話をしている場合の「on」は「nous」の言い換えです。ただし、「nous」よりも「on」のほうが活用が簡単なので、日常ではけっこう使っちゃいますね。
Tu es prêt ? ――On y va, on y va.(準備できた?――いくいく)
ここでは「je」の代わりになっていますが、このようなケースはそれほど多くはありません。使われたとしてもかなりくだけた表現です。「すぐいくよ」といって人を待たせるときに使われるフレーズは、「J’arrive.」ですね。
Nous, on ne partira en vacances cette année.(われわれは、今年バカンスに行かないことにする)
これもあまり推奨はされませんが、あるにはあります。一度nousでいって、onで受け直すパターン。でもできるなら、Nous, nous ne partirons pas…と言ったほうがいいですね。
〈一人称のon〉は以上です。基本的には〈on=nous〉であるということです。
パターン2 二人称のon
ふたつめは、〈二人称のon〉ですが、これはtuたvousに置き換えられるパターンです。とくに、tuかvousか決めかねているときなどの逃げ道として、相手に向かってon で話すことはあります。
しかしそれよりも多いのは、子供に向かって話すときですね。そのため、大人に向かって話しているときに〈二人称を含めるon〉を使うと、相手を子供扱いしているようなニュアンスが出てしまうので、できることならば、これも使用は控えたいところです。
Alors, on est en vacances?= Vous êtes / Tu es en vacances?(あの、バカンスですか?)
たとえば、海辺で知らない人に声をかけるときに使うフレーズですね。いきなりtuでいくと馴れ馴れしすぎるし、かといってvousだとよそよそしすぎる。その間をとっての〈二人称を含めるon〉というわけです。
On a été bien sage aujourd’hui? = Tu as été bien sage aujourd’hui?(今日はいい子にしてた?)
これは子供に向かってのフレーズですね。たとえば、幼稚園や小学校のお迎えにいってすぐの一言。状況的に「on」は目の前にいる子供(二人称)のことを指します。
On se dépêche.= Dépêchez-vous.(急ぎなさい)
これも子供に向かってのフレーズですね。先生が生徒に向かっていうとき、よりシンプルに「on」を使って命令をしたりします。
C’est à cette heure-là qu’on arrive?(この時間にはつくのかい?)
これも明らかに目の前にいる人(二人称)に向かっての発言です。たとえば、上司が部下にいうときならば、可能です。逆は……やめといたほうがいいですね。タメ口みたいになっちゃいます。
〈二人称のon〉は以上です。基本的には、子供相手に使うと覚えておいていいでしょう。
パターン3 三人称のon
みっつめは、〈三人称のon〉になります。話し言葉でいちばん多いのは、これです。ポイントとしては、人物が不特定(indéfini)であるということです。
On m’a téléphoné pendant mon absence?(留守のうちに誰かから電話あった?)
この「on」は「誰か」つまり「quelqu’un」に置き換えることができます。
On a sonné. (ベルが鳴ったよ)
家にいてインターホンが鳴ったときには、こんなふうにいいます。
Au Japon, on mange avec des baguettes.(日本では箸を使って食事をします)
こんなふうに不特定のたくさんの人(この文脈では「日本人」)を指すこともできます。「Au Japon」のように限定がつくことが多いですね。
〈三人称のon〉は以上です。最後にひとつ注意点です。
不定代名詞「on」の意味を決めるのはコンテクストや状況!
たとえば、こんなケースがあります。
En Bretagne, on aime les crêpes.(ブルターニュではクレープをよく食べる)
Chez nous, on aime les crêpes.(うちではクレープをよく食べる)
日本語ではまったく問題にならないのですが、フランス語のシステムのなかでは上の例は「ils=les Bretons」で三人称、下の例は「nous」で一人称ということになります。主語をわざわざ書かなくていい日本語では、いつもわたしたちは「on」のような感覚で言葉を使っているのかもしれませんね。
まとめ
みなさん、フランス語の不定代名詞「on」のポイントはつかめましたでしょうか? 最初に書いたように、ここでお伝えしたのは「会話編」です。「文章編」は少し細かなルールがあるので、別稿をご参照ください。