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【必読】フランス語でやってはいけない間違い10【初級〜中級】
【必読】フランス語でやってはいけない間違い10【初級〜中級】
フランス語に「barbarisme」という言葉があります。バルバリスム。「間違った言葉の使い方をしてしまうこと」ですね。
そんな言葉の厳しいフランス人をして、「こんな間違いは絶対にダメ!」というのを、10つご紹介します!
1. ils croyent, ils voyentなどと書いてしまう
基本動詞のうち「croire(思う)」や「voir(見る)」は、お尻に「i」の音があるために活用のなかで「i」と「y」の両方が出てきます。
どちらも不規則動詞ですが、語末に「y」が必要となるのは、活用語尾にあらたに母音が追加される〈Nous-ons〉と〈Vous-ez〉のときだけです。フランス語では「i+i」=「y」になると思ってください。
Croire(思う): Nous croyons, Vous croyez
Voir(見る):Nous voyons, Vous voyez
これ以外の四つの人称では、「i」を「y」に変える必然性がありませんので、ご注意ください。êtreの接続法現在も同様です。
être:que nous soyons, que vous soyez
たとえば、「qu’il soye」「qu’ils soyent」などと書かないように注意してください。決めては、活用語尾を発音するかどうか、です。
2. Nous fesonsと書いてしまう
基本動詞「faire」の活用は、複数人称でかなり不規則になります。とりわけ、nous faisonsは、発音の規則で「ai=エ」であると習うのに、それに背いた書き方、つまり例外です。こういう例外はほとんどありませんから、例外だ!例外だ!と覚えてしまいましょう。
faire:Nous faisons, Vous faites…
同様に、半過去形ではこの「例外」がすべての人称に出てくるので(つまりaiを「ウ」と発音するので)、最初にきっちりと覚えておきましょう。
faire:Je faisais, Tu faisais, Il faisait, Nous faisions…
これらの発音は、一般的な「ai」の発音規則ではなく、faireの現在形の活用のときの(例外的)発音に準じます。
3. Vous faisez, Vous disez と書いてしまう
またしても「faire」ですが、いま書いたように、vousのときの活用語尾は「ez」ではなく「tes」となります。これは数ある動詞のなかで、faireとdireのふたつだけに起こる現象。例外! 例外!です。
faire:Vous faites
dire:Vous dites
これらの動詞は、日常の「命令形」でもっとも使うので、パワーフレーズとして覚えてしまいましょう。
Dites-moi.(言ってみて)
Faites-moi signe.(知らせてください)
4. un personne, la bébéと書いてしまう
「人」をあらわす「la personne」は女性名詞です。これは男性を示すときにも変わりません。逆に「La personne m’a dit…」というのが、つねに女性だと思ったら大間違いです。
逆に「赤ちゃん」をあらわす「un bébé」は男性名詞です。これは中性的なので、女の子の赤ちゃんであっても、「une bébé」とは書きません。
天使「un ange」も男性名詞。女性的であっても「une ange」とは言いません。「Anna est un vrai petit ange.」のようになります。
「une espèce」は女性名詞。怒り狂う人を「une espèce de fou furieux」といったりしますが、これは男性であっても変わりません。
この流れで例外なのは、「enfant」でしょうか。「une enfant」と女の子を指すことは、それほど不自然ではありません。
5. parmis, malgréと書いてしまう
前置詞や副詞は、sがつくものがけっこうあります。
alors, certes, hormis, sans, volontiers…
しかし、「parmi(〜のなかで)」と「malgré(〜にもかかわらず)」には「s」がつきません。うっかりミスしないように!
6. biensûrとかbon jourとか書いてしまう
その言葉が二語で書くのか、それとも一語で書くのかは、はっきり覚えておく必要はあります。発音には影響しませんが、規則に沿わずに書いてしまうと、なんだか不思議な表記に見えてしまうからです。
「もちろん」の「bien sûr」、「〜しているところだ」の「en train de」、「でも実際は」の「en fait」あたりは、間違えて一語で書かないように気をつけましょう。
逆に「Bonjour」を「Bon jour」と書いたら、意味が変わってしまいますから、これまた注意しましょう。
7. Donne-moi z’en ! とか何となく言っちゃう
命令形のときの代名詞の順番は、頭に入っていますか? これってなかなか悩ましいですよね。
代名詞のmoi, toi, le, laは、肯定の命令文では、enやyの「前」に置かれます。しかも音がつながる関係で、「m’」や「t’」と短くなります。
たとえば、donne-m’en(それをください)、achète-t’en(それを買いなよ)といった具合です。
これらはそれほど多く見かけるわけではないので、最初はそんなフランス語あるの??という感じなのですが、実は正しい表現です。目でも耳でも覚えておきましょう。
va-t’en!(どっかいけよ!)
mets-t’y(仕事はじめなよ/参加しなよ)
conduis-l’y(彼[女]をそこに連れていってよ)
assieds-t’y(そこに座ってよ)
accroche-t’y(そこにぶらさがってよ)
yやenを使ったイディオムがあるので、これらは意味にも注意です。「s’en aller」は頻出の表現ですが、「s’y mettre」は「仕事にとりかかる」「(敵などに)加わる」といった意味です。「y conduire」はそのまんまですが、「連れていく」ですね。音としても「m’y」「t’y」「l’y」「m’en」「t’en」「l’en」という短い音を頭に入れておく必要があります。
8. Assis-toi!などと書いてしまう
小説家でもないかぎり、それほど書く機会は多くありませんが、「座る」を意味する「s’asseoir」は、二パターンの活用があるので、頭に入れておきたいところです。日常で最もよく使う「アシトワ」は、「assieds-toi」となります。
もうひとつの活用では「assois-toi」となるのですが、これは「正しい」けれどそれほど使いません。
形容詞であれば「assis」というかたちになりますが、動詞の活用ルールが優先されるので、混同しないように注意しましょう。
J’étais assis en ce moment-là.(そのとき私は座っていた)
Il m’assied ici tout le moment.(かれはいつもここで私を座らせる)
「s’asseoir」の活用は、こちらから見ることができます。
9. ma amie, sa écoleなどと書いて(言って)しまう
所有形容詞は、本来ma, ta, saを用いる女性名詞でも、母音または無音のhの前では、mon, ton, sonを使うことで、母音の衝突を避けるというルールがあります。これには例外がないので、「母音が衝突する(二重母音のようになる)」ことが違和感の対象であることを、なるべく早くから意識しましょう。流れるように、つらなるように読むときのコツにもなります。
ma amie → mon amie
ta amie → ton amie
sa amie → son amie
10. Nous somme arrivés après qu’il soit parti.とか言っちゃう
次の文章は、間違っています。どこが間違っているでしょうか?
Nous somme arrivés après qu‘il soit parti.(彼が出発したあとに、われわれは到着した)
これはフランス人でもよくする間違いで、辞書にもはっきりと「après que」のあとは「直説法」と書いてあります。つまり、「接続法」ではないよ、ということです。
このような間違いは、「avant que」のあとが「接続法」になることが要因だと言われています。しかし、何でもかんでも「queのあとが接続法になる」とは限りません。
ここではque以下の<出来事>が、客観的な事実であるわけですから、接続法を使う必要はまったくないのです。「接続法」ってなんだっけ、という方はリンク先の記事に飛んでください。
「彼が出発したあとに、われわれは到着した」という時制は、フランス語だと次のように書かなければなりません。
Nous somme arrivés après qu‘il est parti. [完了過去/完了過去]
あるいは、次のような時制のペアも可能です。
Nous arrivons après qu’il est parti. [現在/完了過去]
(彼が出発したあとに、われわれは到着することになる)
Nous étions arrivés après qu’il était parti. [未完了過去/完了過去]
(われわれが到着したとき、彼はもう出発していた)
Nous arriverons après qu’il sera parti. [未来/未来完了]
(われわれが到着するころには、彼はもう出発しているだろう)
Nous arrivâmes après qu’il fut parti. [物語過去/物語完了過去]
(わたしたちが到着したのは、彼が到着したあとだった)
→ 一般に使われている時制の用語と、このウェブサイトで使われている用語は少し違いますので、詳しくはこちらを参照してください。
まとめ
この記事を読んでいただければ、フランス語初級のスペルや文法の落とし穴がどのへんにあるのか、再チェックできると思います。すべてクリアできた!という方は、胸を張って中級レベルに進んでくださいね!