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【フランス名物】ヴァンデ・グローブってどんな競技?【スポーツ】
【フランス名物】ヴァンデ・グローブってどんな競技?【スポーツ】
ボンジュール、たじまです。
みなさん、ヴァンデ・グローブって競技、ごぞんじですか?
4年に一度のヨットレース、今年2020年はコロナ禍で外出禁止例が全土に敷かれるなかで、ひっそりと開催されましたが、ニュースでは毎日、順位や選手の位置が報じられています。
この記事では、日本ではほとんど知られていないヴァンデ・グローブについてご紹介します! 日本からは2016年につづき、プロフェッショナルセーラーの白石康次郎さんが、二度目の出場を果たしています!
【基本】ヴァンデ・グローブってなに?
ヴァンデ・グローブ(Vendée Globe)は、1989年に創設された、単独無寄港無補給世界一周ヨットレース(une course à la voile)です。「世界一周(autour du monde)」なので「Globe」という名前がついているわけですが、レースとしては「単独(en solitaire)」「無寄港(sans escale)」「無補給(sans assistance)」がポイントですね。
つまり、世界一過酷なヨットレース! 開催期間は、夏のオリンピックが開催される年の11月〜1月です。
「ヴァンデ」というのは、ヨットがスタート・ゴールするフランスの地名です。国土の西側の中央部、フランス・ヴァンデ県のレ・サーブル=ドロンヌ(Sables-d’Olonne)をスタート・ゴール地としています。観光地ラ・ロッシェルの少し北に位置している街です。
このレースの通路(Le parcours)は、以下の三つの岬(le cap)を必ず通らなければなりません。ルールは、フランス語でこんなふうに説明されています。
Le parcours consiste à faire le tour de l’Antarctique en laissant sur bâbord (à gauche) les trois caps que sont le cap de Bonne-Espérance, le cap Leeuwin et le cap Horn.
通過点は、le cap de Bonne-Espérance(喜望峰)、le cap Leeuwin(ルーイン岬)、le cap Horn(ホーン岬)です。「sur bâbord」というのは「à gauche」とカッコ書きされていることからもわかるように「左回りで」ということですね。
ヴァンデ・グローブは、毎回、記録が大幅更新される大会!
もちろん天候などにも大きく左右されるのですが、しかしここ近年は大会のたびに記録は大幅更新されています!
第一回大会で3か月以上(109日)かかっていた優勝者の記録は、第8回の2016-2017年にはなんと2か月半(74日)!までに短縮されています。
さまざまなトラブルを解消しながら、人間の限界に挑む選手たち。外洋ヨットレースの選手は「スキッパー」と呼ばれます。辞書では(稀)などと書かれていますが、このレースのおかげなのか、選手たちはフランス語で「skipper」と紹介されます。
この競技は映画にもなっていて、それが2013年に公開された『ターニング・タイド 希望の海』です!
「ヴァンデ・グローブ」に挑む中年のヨット操縦士とモーリタニアから来たという少年との友情を描く海洋アドベンチャー。
フランク役のギョーム・カネがいいですね〜。
日本からは2016年につづき白石康次郎選手が出場中!
こんな過酷な大会に出場している日本人選手がいます。
白石康次郎選手です!
白石選手は1967年生まれ。40代最後に、初のヴァンデ・グローブ出場権を獲得。今回は50代になってからの初の参加、2回目のチャレンジになります。
残念ながら2016年のヴァンデ・グローブでは、スタートから約1か月後の南アフリカ沖でディスマスト。レース続行が不可能な状態になり、南アフリカへと寄港しリタイヤをしてしまいました。
以下は、「トランザットニューヨーク・ヴァンデ2016」で完走を果たし、本戦へ出場切符を手にしたときの喜び溢れるシーンです!
白石選手は、少年時代に船で海を渡るという夢を抱き、機関士を目指し神奈川県立三崎水産高等学校(現:神奈川県立海洋科学高等学校)へ入学。
しかし、在学中に第一回単独世界一周レース(BOCレース)で日本人の多田雄幸が優勝したとのニュースを見て、自分もヨットで世界一周をしたいと思い立つちました。そして自宅まで押しかけての弟子入り。
1994年にヨットによる単独世界一周を成功し、今までに合計で三度の世界一周を果たしています。史上最年少で「ヨット単独無寄港世界一周」を達成した方。それは本にもなっています→ 『史上最年少ヨット単独無寄港世界一周 七つの海を越えて』(文春文庫)。
まとめ
夏季オリンピックの年の冬にフランスで行われている世界一過酷なヨットレース「ヴァンデ・グローブ」。日本も海に囲まれているからこそ、このような日本とフランスのつながりが生まれるのでしょう。そしてそれを体現してくれているのが、冒険家・白石康次郎選手! ぜひ初の完走を期待して、レースの行方を追っていきたいと思います!
外部リンク→ 世界のヨットレースのウェブマガジン「BULKHEAD」
外部リンク→ 白石康次郎後援会