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【フランス語版】「クラリネットをこわしちゃった」を歌ってみよう!【入門〜初級】

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【フランス語版】「クラリネットをこわしちゃった」を歌ってみよう!


こんにちは、たじまです。

フランス語に慣れるためには、「歌」を覚えるのがいちばん! これは大人でも子供でもおんなじです。語学上達の秘訣ですね。

この記事では、誰もが知っている「クラリネットをこわしちゃった」のフランス語版をご紹介したいと思います。単語や文法解説もあるので、ぜひ繰り返し歌ってみてくださいね。

まずは、何度かきいてみましょう。

まずは一番の歌詞を順番にみていきましょう。

なつかしいですね。でも、フランス語のタイトルは、「J’ai perdu le do de ma clarinette」つまり「クラリネットのドがでなくなっちゃった」です。リズムも内容も少し日本語とは違っているのが面白いです。

J’ai perdu le do de ma clarinette.(クラリネットのドがでなくなっちゃった)

「perdu」は、フランス語の基本動詞「perdre」の過去分詞です。〈何かがなくなる〉ことを示す動詞で、ものを「無くす」とか、試合に「負ける」(=勝ちを「なくす」)とか、日常的によく使います。

フランス語では、〈avoir+過去分詞〉で、〈過去の瞬間に起こってしまったこと〉を指します。文法的には「複合過去(passé composé)」といいますが、ふたつのことばを「組み合わせて=複合して(composé)」「過去(passé)」のことを示すかたちなので、このように呼ばれています。「J’ai perdu」で「なくしちゃった!」という意味。

後半の「le do de ma clarinette」は、「(わたしの)クラリネットのドの音」という意味ですが、「clarinette」は単数の女性名詞なので「ma」をつけます(男性名詞だったらmon、複数ならmesをつけます)。全体と部分をつなぐ言葉が「de」。フランス語習いたてだと「デ」と読みがちですが、語末のeは発音しないので、子音だけを発音して「ドゥ」のようなかたちになります。クラリネットに「ドの音」はひとつしかないので、定冠詞の「le」をつけています。

Ah, si papa savait ça, tralala.(ああ、パパがそれを知っちゃったら、わわわー)

「Ah」は英語と一緒です。「やばい〜」ということですね。日本語の「あー」にもそんなニュアンスがあります。「si」は英語の「if」にあたることば。「もし」という仮定を示しますが、ここでは「パパがそのことを知る(papa-savoir-ça)」という内容が確実ではなく、あくまで仮定の話。そのときには、siのなかで「半過去(imparfait)」という動詞のかたちを使います。

英語の仮定法現在と一緒で、「現在」のことだけど、可能性が低いので「過去」の「遠さ」だけを借りてくる、ということですね。ここでは「知る」という動詞savoirの半過去形になっています。「ça」は、目の前のものを指して「それ」という日常で最も使う言葉のひとつ。ここでは「クラリネットのドの音が出なくなっちゃったこと」でしょう。

Il me taperait sur les doigts, tralala(指をたたかれちゃうー、わわわー)

「Il」は、男性単数の代名詞「かれ」なので、もちろん前出のパパのことですね。動詞は「taper」で「〜を叩く」という意味。「me」は「わたしを」という直接目的語なのですが、目的語(「〜を」にあたる部分)が代名詞になる場合は、日本語と同じ語順になります。

  Il-me-taper(かれが―ぼくを―たたく)

動詞taperは初級で習う単語なのですが、動詞のうしろが「rait」というかたちになっていますよね。これも先ほどの「条件法現在」というかたちで、siのなかで使った「半過去」に対応しています。「Il me taperait」で、「パパがぼくを叩くかもしれない」という意味になります。

「Il me taperait」だけだと、体全体を叩くということになりますが、体の一部である場合は、後半でそれを限定します。「sur」は〈接触〉〈〜の上を〉をあらわす大事な前置詞。「doigt」は「指」で、叩かれる指は一本ではないので、複数形の定冠詞lesがついています。トータルで「指をたたかれちゃうー、わわわー」というかんじですね。

Au pas, camarade, au pas, camarade(動け、相棒、動け、相棒)
Au pas, au pas, au pas(動け、動け、動けー)

はい、おなじみの「オーパッキャマラード」です。これ、実はれっきとしたフランス語だったんですね。「camarade」は「ともだち(ami)」のちょっと勢いある言い方。文脈によってはダチとかツレとか、そんな感じにもなります。ここでは、相棒であるクラリネットのこと。

「Au pas」はもともと軍隊用語で「すすめ!」という意味です。「un pas」は「一歩」を意味する言葉で、「faire un pas en avant」で「一歩前に出る(avancer)」の意味になります。ここでは固定表現なので、定冠詞leがついていますが、前置詞àとのくっつくルールがあるので「au」になっています。

要するに、パパに怒られるのがこわくて、焦ってるわけですね。しかしこのあと、他の音まで出なくなってしまう! 最初のフレーズの「le do」のあとに「le ré」「le mi」を足して行けば、残りの部分もうたえちゃいます!

じつは…ほかのヴァージョンもあるよ!

この歌にはいろいろなバージョンがあって、おなじみの「パッキャマラード」が出てこないものもあります。以下にはもうひとつのバージョンに出てくる表現を補足しておきましょう。まずはこちらをきいてみてください。

補足 Il dirait Ohé, il chanterait Ohé(オーイと言うかも、オーイと歌うかも)

遠くから人を呼ぶときに「ohé(オーエー)」とフランス語ではいいます。日本語では「おーい」ですね。二回出てくる「il」は、男性単数の代名詞「かれ」なので、もちろん前出のパパのこと。「パパがOhéとdireしちゃう」「パパがOhéとchanterしちゃう」というのが、ここでの内容です。

動詞direは「言う」、chanterは「歌う」で、どちらも初級で習う単語なのですが、動詞のうしろが「rait」というかたちになっていますよね。これも先ほどの「条件法現在」というかたちで、siのなかで使った「半過去」に対応しています。つまり、英語の仮定法現在の「would+動詞の原形」と同じで、想像のなかで「〜だろう」と言うために使われています。日本語だと「(し)ちゃう」という文末で操作しますが、フランス語は動詞のかたちでそれを伝えます。

パパはびっくりして歌い出しちゃったのかな。フランス人はラテン気質だからすぐにラララ〜と歌いだし、踊り出します!

Tu connais pas la cadence.(リズムがわからなくなるだろう)
Tu sais pas comment ça se danse.(踊り方がわからなくなるだろう)

対句のようになっているフレーズ。フランス語では微妙に最後の音は違うのですが、「Tu(テュ)=ais pas(エパ)=ence/anse(アンス)」というところでライミングしています。

上の動詞connaisは、「(存在や名前を)知っている」というconnaîtreの現在形。下の動詞saisは「知っている=熟知している」というsavoirの現在形。フランス語では動詞を「ne」と「pas」でサンドイッチすることで否定形になるのですが、会話ではほとんど「ne」は省略されてしまいます。ここでは、その会話調のかたちです。

  Tu (ne) connais pas(知らない)
  Tu (ne) sais pas(わからない)

後半部分にでてくる「la cadence」は「リズム」や「拍子」のこと。女性名詞です。「comment」は「どうやって」という英語のhowにあたる疑問詞です。「comment ça se danse」は、英語の「how to dance」くらいの意味合いです。クラリネットの音がでなくなったら、リズムがとれなくなって、踊るにも踊れなくなっちゃうじゃないか、とパパが子供に怒ってるわけですね。

Tu sais pas danser au pas cadencé.(リズミカルな足に合わせた踊りができくなるだろう)

上で見た対句を合わせたような文章です。前半の「Tu sais pas danser」は「踊れないよ」と、子供に言っていて、後半の「au pas cadencé」では「cadancé」という形容詞が出てきています。名詞の「la cadence」が動詞化したものが「cadancer(リズムをつける)」、これの過去分詞=形容詞が「cadancé」(リズムをつけられた)です。フランス語の形容詞は原則として、名詞のうしろにおいて、前の名詞と性と数を合わせて使いますが、ここでは「pas」が男性単数の名詞なので、とりたてて文字を加える必要はありません。

まとめ

みなさん、おなじみの「クラリネットをこわしちゃった」フランス語ヴァージョンはいかがでしたでしょうか? それほど難しくないながらも、基本的な文法事項が詰まっているので、フランス語入門〜初級の教材としては、うってつけです。ぜひリズムに合わせて(en cadance)歌ってみてくださいね!!

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